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まだまだ食料不足であったからへ食料増産のため化学肥料や農薬を大量に使用する近代農法が当然のこととして広がった。
当時は化学肥料は金肥と呼ばれ、堆肥へ糞尿を使うより清浄な栽培ができるものとして歓迎されていたのである。
その後の高度経済成長により、人口は農村から都市に大挙して移動して都市部の人口が75%に達した。
農業人口の減少を補うためへ農業機械の普及や化学肥料へ農薬を活用して単作物の大量栽培が始まくり、農協を中心にした共同出荷が広まった。
都市部ではスーパーマ−ケットを中心に量販店による大量流通、販売が常態になった。
家庭では加工食品へ調理済み食品が普及し、外食の利用が増えた。
都市の住民にとって、食料はスーパーで買うものになり、それが農村で栽培され、漁村で漁獲されたものであることを忘れてしまった。
現在では季節や産地にかかわりにくくなり、欲しいと思う食材は遠くりからでも手に入れようとする。
そのためへ ハウス栽培による季節はずれの農産物が増えたくり、遠隔地からの長距離輸送、あるいは海外からの輸入が増えている。
都会の生活では食料の生産者の顔はますます見えなくなっている。
では、農業生産が盛んな地方でならばお互いに顔の見える地産地滑の食生活ができているのであろうか。
都道府県別に農産物の消費量と生産量を食品エネルギーベースで比較した「地域別食料自給率」という統計がある。
つまり食料の生産地と消費地が完全に隔離してしまっているのである。
それならば地域別自給率の高い農業圏では、食料が自給自足できているのかと言えばそうではない。
地域別自給率は地場産の農作物がどのくらい地元で消費されたかを示しているのではない。
例えば山形県は農業県であり地域別自給率が県内で消費するものはすべて県内で生産されたものであり、残り28%を県外に移出しているのかというとそうではない。
農水省の指定する農産物を大量に栽培して大都市圏に販売し、自分達が食べるものは他府県から購入しているのである。
大都市の需要が多いキャベツへ大根、白菜へきゆうくりなどには、全国の大量消費地に出荷するよう助成する大規模指定産地制度がある。
そして全国出荷へ全国流通に便利なように農産物の標準規格が定められていてL、M、Sとサイズをそろえるから、選別コストを削減するため廃止されたが、曲がったきゅうりや不ぞろいの野菜は商品にならなくなった。
完熟トマトは輸送中に荷痛みするので赤くなくならないうちに摘まれて箱詰めされる。
都市に生活する人々のために生産されているといってよい。
地産地滑は大都市消費国では到底不可能なことであるが、地方の農業圏でも本来の姿では容易には実現できなくなっている。
それでは現代の地産地消、食農同体はどのようにして実現すればよいのであろうか。
この十年来、農山村の村営農産物直販施設が増えている。
小規模の販売農家や自給農家が規格はずれで農協に出荷できない野菜や、自家用に栽培した野菜の余くりを持ち込んで販売し始めたのである。
朝に取った野菜はその日のうちに食べて欲しいというのが手塩にかけて育てた生産者の共通した願いである。
生産農家の名札、顔写真も付いているので安心できるし、新鮮で、安いから人気を集めている。
いわば、朝市を組織化したようなものであり、地元の消費者だけを相手にするのでなく、観光客の訪れる「道の駅」やドライブイン、あるいは近くりの地方都市にも進出している。
自然の恵みを無駄にすることなく、近くりの人々に食べてもらうことで食卓と田畑の距離が縮まったのである。
大規模なところでは、会員農家がくり千戸にもなく、年間の販売額が数億円にもなるという。
全国では1万ヶ所ぐらいあるから I直販所当たりの年間販売額を推計すれば、合計にもなるから山形県の年間農業販売額にも相当する。
全国の農産物生産額10兆円にもなる。
生産農家の顔が見える地場農産物ならではの強みである。
人口が集中する大都市圏では、住宅地に残された生産農地で新鮮野菜の自家販売がよく見られるようになった。
東京23区内で最大の耕地面積をもつ練馬区大泉地区のあるスーパーでは、地元の農家から直接に野菜を仕入れて「産地に一番近いスーパー」を売くり物にしている。
規模の大きい農家や協同組合は有機農産物、減農薬、減化学肥料農産物を売くり物にして、お互いの顔が見えて、関心を持ち合える契約栽培、直接販売へ産直共同購入を進めている。
新潟県のさる農家組合は特産銘柄米を無農薬栽培し、精米加工までして通信販売することで成功した。
山口県のさる農園では遺伝子組換え飼料を使わない食肉や鶏卵、有機栽培の野菜や米などを生協に直販して大きく成長し、農業分野では初めて株式の店頭公開を果たした。
かつて農家、農村の暮らしは自家製の味噌、醤油へ漬物などにより支えられ、それが地域の味にもなっていた。
ところが近年へ作物生産だけに専従するようになると、これら自給的加工は少なくなり、それと共に農村の生活文化も変わってしまった。
このことにいち早く気づき始めたのは農村の女性達である。
地域の生活センターなどに集まり協同で特産物を加工販売をすることにより地域の人も資源も再生し活性化してきた。
農家の主婦たちが郷土料理屋を開いている例もある。
農産物の県内生産金額を同じくり県内での消費金額で割った金額ベースでの地域別食料自給率を見ると、付加価値が高い野菜、果実、畜産物を生産している地域はカロリーベースの食料自給率より金額ベースの自給率が数倍にも高くりなっている。
北海道の酪農、ジャガイモ、山形、高知のしょうが、熊本のミニトマト、鹿児島の黒豚肉など消費ニーズに合わせた地域ブランドを確立へさらにジャム、漬物、菓子、ワインなど付加価値の高い特産加工品に加工すれば、農業租生産金額を高めることができるのである。
これら地方のブランド加工品について、原産地呼称を認定して支援する自治体が増えてきた。
例えば、長野県産のブドウだけを原料に使って長野県下で醸造し、品質検査に合格したものに長野ワ原産地呼称マークが認定されている。
農薬を使わない有機農業を普及させるには 最近へ食の安全性に対する関心が高まくり、農薬や化学肥料を使うことに拒否反応がある。
もともと作物の害虫や雑草を駆除するために開発された農薬のことであるから、撒布直後には自然の生態系に強い影響があるのは当然である。
適切に使用すればわれわれの健康には無害であり、環境にも心配するほどの影響を及ぼさないのであるが、用心のため使用量を最小限にする。
あるいは全く使用しないのに越したことはない。
わが国では、狭い耕地で多くりの人口を抱えているためへ収量を増やすために農薬や化学肥料の使用が多く、そのため環境の汚染は先進国の中でも酷いからなおさらである。
農薬の使用量は一時に比べれば半減したけれども、欧米諸国に比べればなお数倍多く、依然として大気、土壌、地下水、河川を汚染しつづけている。
そこで、農林水産省は化学肥料、農薬の使用を減らし環境に配慮する持続的農業を推進し始めたのであるが、十年経っても成果は期待したほどでない。
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